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SPECIAL

志人 from Triune Gods × Hiro Kurata

2011/02/24 UP

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RED one PRESSスペシャルコンテンツ。

今回は、1月19日にヒップホップユニット『Triune Gods』のメンバーとしてGranma Musicからニューアルバム「SEVEN DAYS SIX NIGHTS」をリリースしたばかりのMC、志人さんへのインタビューを行った。しかもなんと今回は、同アルバムのカバーアートワークを担当したNYブルックリンで活動するアーティストHiro Kurataがインタビュアーとして参加。

今回アートワークを担当したHiro Kurataの、志人さん本人への興味が深かったことからこの企画が行われた。

【志人from 降神 (sibitt/シビット) 】

降神のMC。降神非行期. 玉兎なるオルターエゴ(別人格)を持つ。時には歌う変幻自在のフロウを持ち、従来の日本語のHIPHOP観を覆す唯一無二の存在であり、ジャンルの壁を超え音楽空間を彷徨う旅人。内なる宇宙からとめどなく溢れ出す言葉は、聴く者の脳裏に映像を浮かび上がらせ、まるで一つの映画を見ているかのような感覚へ誘う。また演劇的とも評されるライブは、見る者の感情を心の奥底から導き出し、音楽の新たな世界へ連れて行く。
2011年1月、Triune Godsというグループ(志人from Japan, ScottDaRos from CANADA, bleubird from USA)のデビューアルバム「Seven Days Six Nights」をリリースし国境を越えた制作活動も行っている。

■志人official blog ▶ http://sibitt.exblog.jp/

■降神profile ▶ TempleATS

 

Hiro Kurataプロフィール

80年日本生まれ。NYはブルックリンを拠点に活動している画家。民衆芸術を思わせる具現的な表現で野球選手を題材にし独自の世界観を表現している。
以前、NYのチェルシーにて大手画廊の絵画修復家として働いていた経験を活かし、絵画表現の次なる文脈を日々模索している。

■Hiro Kurataアーティストページはこちら

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志人 from Triune Gods × Hiro Kurata スペシャル対談

REDonePRESS (以下:R):

ではまず始めに今回「SEVEN DAYS SIX NIGHTS」をリリースされた新しいユニット『Triune Gods (三神一体)』についてですが、これはどの様なユニットなのでしょう?

志人(以下:S):

Scott Da Ros (from Montreal CANADA)、bleubird (from Florida USA)、Sibitt (from Tokyo JAPAN ) の三者からなるグループです。 → www.triunegods.com
僕らはbleubirdの来日ツアーの際に出会いました。
兼ねてからお互いの作品のファンであった三人は、コラボレーションではなくグループを結成出来ないかというIDEAのもと、Montrealで2010年4月に再会を果たしました。

R

今回アルバム「seven days six nights」はどのような仕上がりになっていますか?また今回Hiro Kurataさんにアルバムジャケットのアートワークを依頼することになった理由を聞かせて下さい。

S:「seven days six nights」はその名の通り、濃密な7日間というMontreal滞在期間の中で制作された作品です。僕らTriune Godsの新たな旅の門出となる一枚です。
僕自身、制作にはたった一日で出来てしまう作品もあれば、2~3年かかりようやく全体像がつかめるようになる作品も作っております。その点においては限られた時間の中で、言葉や国境を越えてどこまでこの三者が時を分かち合い、そしてお互いをインスピレーションとして、インプットしたものをどこまでアウトプットできるかという試練にも似ていて、そして冒険にも近いそんな制作であったと言えます。
「勝つか負けるかよりもまずはやるかやらぬか成すか成さぬか 発芽間近 待つな投げるな 明日は晴れるさ」(4曲目COREより) や、「それを俺のものにしようって考えが間違えなんだワンモメントを完走出来るか、当然挑戦が条件さOK?」(7曲目 SameTrainより)という思いが根底にありました。
とにかく我武者らに、無我夢中にMontrealのエネルギーを存分に吸収しながら、自分が来た不思議な島国、日本へ望郷の念を募らせるようにして挑みました。

PC101688

僕自身、星の数程存在する現代を生きるアーティストの中で、絵画という分野において、戸田真樹という存在とHiro Kurataという存在に出会ったのは大きな奇跡とも呼べる程の衝撃でした。

Hiro君とは渋谷のPineal (かつてHiro Kurataが席をおいていたアーティストスタジオ) で出会いました。そこへは出来立てほやほやの「Heaven`s恋文」(志人 / 玉兎)を持って行って無理矢理そこに居た皆さんに聴いてもらった思い出があります。画家の戸田真樹くんと一緒にPinealを訪ねたのですが、もの凄いエネルギーを持ったアーティストたちが沢山居て、その日もライブペイントを数名で行っていたと思います。その傍らで、木材を画材として絵を描いていたHiro君に出会いました。もうはじめて彼の作品を目の当たりにしたのですが、今でもその感動は薄れずに残っております。ちょっとこの人は違うぞって。確か僕の記憶が確かなら、HIRO君と戸田君とでほんの少しの時間内に二人で大作を仕上げてしまっていたのを目の前にして、唖然としたのを憶えております。この二人本気だと思いました。そして同時代に生まれてきた事を心より嬉しく思い、それから幾度もHiro君の絵を観に行きました。

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artwork:戸田真樹

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artwork:戸田真樹

その頃から絶対いつかHiro君の作品を家宝にするのが一つの夢になっていました。それは今でもです。
そんな尊敬する画家Hiro Kurataとこのような形で一緒に仕事ができるというのは夢にも思っていなかったのですが、アルバムが完成してアートワークの制作者を話し合っている時に、ScottとBirdが僕に意見を求めてくれた所から始まりました。
「Masa (僕のあだ名)、お前は誰か尊敬している画家はいないのか?」(Scott &Bird)
「実は昔からもの凄く尊敬している画家が居るんだ。Hiro Kurataという画家さんなんだけど、彼の作品は素晴らしすぎて、CDのジャケットはやってくれないと思うけど…」という会話から始まり、僕が思い切ってHiro君にラブレターを出そうと思ったのです。断られる事を前提に、でも本気で想いを伝えればもしかしたら。。するとそのもしかしたらが起きてしまった訳です。
承諾のお返事を頂いた時はもう飛び上がりましたね。興奮して一人で叫んだりしていました。「うおーーー」って。
それはもの凄い事だし、ある意味奇跡です。

Hiro Kurata (以下H):

僕としてもアートワークの依頼は衝撃的な事件でしたよ。数日間は、“Too good be true”(現実にしてはスゴすぎるぞ?)という感じでしたね。

H

このアルバムを制作したモントリオールでの濃密な一週間というのは、どのような一週間だったのでしょうか?また、モントリオールの街や人は志人さんにどのように映りましたか?

S:それはそれは濃密な7日間でした。観光らしい観光は一切しなかったですね。それでも毎朝birdと一緒に行くカフェオリンピコのアイスカフェラテを飲むのが日課で、朝の始まりはゆったりとカフェでお互いの人生の話や、birdが以前Montrealで生活していた時の友人達と異文化交流をして、24時間焼きたてベーグルに振りかけられた胡麻をアスファルトにポツポツこぼしながら宿へ戻り、Scottの録音の準備が整うまでひたすらリリックを二人で書いていました。時にお互い向かい合って、時に青空を仰ぎながら、時に一夜で降り積もった雪をギシギシ踏みながら。

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作詞作業が煮詰まってくると、birdは隣の部屋のアートオフィスを訪ね、卓球台を借りてきて、しばし一緒に卓球をして、また即座にリリック書きに戻る。制作の中のストレスを解放する術としてスポーツがあったのも僕とbirdの心が急接近していった理由としては非常に大きいでしょう。
僕がbirdと一緒に7日間寝泊まりさせてもらったのが、モントリオール在住のリオン君という大工さんのお家でした。彼自身ももの凄く音楽好きで、自作スタジオ(ドラムセットまである! 防音設備も完備)を大工魂で作ってしまう程の行動力と想像力を兼ね備えた素晴らしい人物でした。滞在期間中にテラスに僕らが腰をかけ、リリックを書いたり、お互いの人生を語り合ったり出来るベンチも作ってくれたり、これもまた滞在中に二段ベットをサクサクッと作ってくれたり。地元の大工さんとの連係プレーは僕らも負けじと大作を作るのに余念をなくさせてくれ、非常に触発されましたね。モノ作りに対する情熱を無言の内に知らしめてくれたような感もありました。彼らにはとてもとても感謝しています。

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志人 (左) / bird (右)

とにかく後、自然が素晴らしいです。至る所に森や公園があるのですが、まるまる太ったリスがそこら中に警戒心もなく踊っていました。日本でリスを見る為にはなかなか山深くまで行かないと警戒心も強いので見られませんしね。もしかしたらリスたちを追いかけて行けば普段見られないような不思議な森へと案内してくれたかも知れません。今度は人間たちの住まない奥地まで足を伸ばしてみたいですね。

それから滞在期間中にScottが用意してくれたイベントでライブをする機会がありました。ライブは大盛況で、日本でライブをした時の反応の120%くらいで反応が返ってきました。ライブ中にフォークダンスを踊りだしてしまう人や、終わった後も暖かい言葉を頂いたり、物販も全て売り切れてしまう状態で感無量でした。地元のグループHeliodromeやbleubird、sibitt等でセッションもしました。

モントリオールは英語圏の人とフランス語圏の人が入り交じっています。しかしながら双方争う事もなく、言語の違いを「芸術」や「音楽」で時に戦わせ、分かち合い、言葉にしなくても平和であることの素晴らしさを私に教えてくれる、そんな町でした。
正直Montrealに惚れましたね。

H:それは素晴らしいですね!NYもそういった多文化的な意味では大きな国際都市の一つですが、共通言語は英語のみですもんね。モントリオールは「北米のパリ」と言われるくらいフランス文化が定着してるようですし、日常生活で二つの言語が入り交じり飛び交う文化というのは不思議ですね。そう考えると、Triune Godsの音楽も正しく異文化の交流やコントラストを具現化した作品だからモントリオールで制作された意味がビシバシ伝わってきますね。

R

ではKurataさんの方では何か今回の制作にあたって起きたエピソードなどはありましたか?

H:当初は既にある僕の作品の中からジャケに合う絵を選ぶっていう話だったんですが、せっかくの機会ということで描き下ろさせて頂きました。僕の絵にGreekMythというシリーズがあって、虚無僧と野球選手が戦っている構図の絵なんですが、この構図がTriune Godsの三神一体というコンセプトと不思議なくらい一致したんですね。「野球と侍」、「北米と日本」、「顔の無い男に青い鳥」、「肉体と精神」、「音楽と大木」。絵の中の色々な要素がアレゴリカルに音楽と結びついています。
まずは表紙の絵から始まり、中表紙、裏表紙とTriune Godsの3人とGranma Musicのレーベールの方とメールで意見交換をしながら作業を進めていきました。特にTriune GodsのScottさんはデザインの経験も豊富だったので裏表紙の曲目など色々な所で助けて頂きました。

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「GreekMyth 03」

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「GreekMyth 09」

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「seven days six nights」album cover

R

アルバムには12ページのブックレットも入っているそうですね。そちらはどんな内容になっているのでしょう?

H:制作に入る前に今回頂いた音源を何度も何度も聞きました。そしてそれぞれの曲からインスパイアされたドローイングを歌詞カードの隙間などに描かせてもらいました。

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H

僕は絵画、あなたは音楽や詩を通し自分や自分の周りを表現していますが、表現には「質」が存在すると思いますか?表現される上で気にかけている事がもしあったら教えて下さい。

S:やはり何が“残る”かという事に非常に興味があります。ただ何かを作る事なら誰にでも出来るけれど、「残るものを作る」というのは言うのは容易ですが、成し遂げるのはそうそう容易にはいきません。言葉であるならば、「死なない言葉」、どんなに町が多様化し変わって行こうが、普遍的に存在し続ける言葉。僕にとってはそれは「心の声」だと思っています。普段普通に生活していたら見落としがちな「心の声」。それを聴く事が出来、歪曲する事なく残す事ができたなら「ああ、この言葉、もしかしたら僕が死んだ後にも誰かが詠んでくれるかもしれない。」という不思議な感覚になるのです。でもその感覚は忘れたくないし、その感覚になれた時にこそ後世に残るものが作れたのだろうし、確実に残るものであるとされる確信が沸き上がります。その確信に触れる為に何度も何度も失敗しても挫けないで、とことん間違っても良いからやり続ける。
やり続けてやり続けて見えた一筋の光を絶対に見逃さない様に夢をたぐり寄せるようにして強い想いを想い描き続ける事ですかね。あきらめたらそこまで、想い描き続ける持続可能な夢を持ち続ける事を信念にしています。
その点において、Hiro君の絵は絶対に残るものだと思う。
絵は言葉を持ちませんが、確実に僕には語りかけてくる、特に心の奥深くへ。

H:ありがとうございます、感無量です。
作品を後世に残すという考えはおもしろいですね。そういえば以前絵画の修復スタジオで働いていたのですが、その時によく、何度も修復され重宝される作品たちと捨てられていく作品たちの違いなんかを考えたりしていました。作品の社会的な価値ももちろん大きく影響されますが、例えば自分のおじいさんが生前に描いた油絵が倉庫の奥から破れて出て来たので直して欲しい、みたいな依頼も多々ありました。要するに現世の人と何かしらの繋がりを築けた作品たちは後世にも受け継がれていく可能性のある作品たちなのでしょう。

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H

では志人さんはどの様な「表現」がお好きですか?どのような人やモノに感動しますか?

S:周りになんと言われようが我が道を貫いている人、そして表現。
そして「表現」を取り上げられたら蛻の殻だし、それなしでは生きられない様なタイプの人間。
そんな人間が好きで、やはり人間というからには、「人間らしい」人が好きですね。先にも言ったように、「残るものを作ることができる人」それは自身の指標でもあり、尊敬の念を抱きます。

H

最後に、月並みの質問ですが、志人さんの人生を変えたレコードを一枚だけあげるとしたら?

S:やはりTempleATSの音楽家たちの作品でしょうか。
彼らに出会っていなければ今の僕も存在しないし、強いて挙げるなら、降神の「Kaerimichi ep」でしょうか。

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降神「Kaerimichi ep」2004

R

では最後にお二人に伺います。今回の音楽とアートの関係、つまり中身と外見の関係を一言で表すとすればどう言えるでしょうか。

S:我、人と逢うなり。 我逢人

H:謹賀新年二千十一!

artwork ↑:『Heaven’s恋文』album cover by 戸田真樹 #「LIFE」

あとがき Hiro Kurata

忘れもしない2006年。知り合い一人いない3月のベルリンに移住した僕は途方に暮れていた。
それまで多くの事がうまくいっていて、より大きなステップを踏もうと思い切ってドイツへと渡ったのだが、その春のベルリンは数10年に1度の極寒だったそうで、マイナス20度という未体験の寒さの中、僕はベルリンで一人、自分の無力さや無知さを存分に思い知らされていた。
そんな中、偶然にも画家友達の戸田真樹さんが短期旅行でベルリンに来ていることを知った。彼とベルリンで会えたのはたった数日だったけど、独りでいる僕は彼に会ったことでとても救われた気持ちになったのを憶えている。そして彼は別れ際に、志人さんのアルバム『Heaven’s恋文』の音源を置いていってくれた。このアルバムのジャケットアートワークは戸田さんが中学生の時に描いた絵だそうだ。
そのアルバムに込められた曲は不思議と独りぼっちのベルリンの街に合って、何度聞いても全てを把握できない志人さんの早口の歌詞をむさぼるように聞いたのをよく憶えている。聞く度に新しい言葉が耳に入ってきて、それを理解し、その度に触発され想像力が刺激される。それによってモチベーションが高まる。まるで何度見ても新しいシーンが加えられている映画のような不思議な曲たちを、気付けば僕はよく口ずさんでいた。
きっと人には、人生のテーマになるような曲というのがいくつかあると思う。僕にとっては5年前にベルリンで聞いた志人さんの歌、特に「bluesman walking」と「life」は忘れられない曲になった。「諦めちゃダメさ、だって限られちまった人生なのさ。」と歌う彼の歌声にどれほど救われたことか。
そのように大きな影響を与えてもらったクリエイターたちと一緒にお仕事を出来ることがどんなに素晴らしいことか。今回のお仕事はそんな貴重な体験になったと感じている。

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